読まない

私は、「趣味は読書です」と言える程度にはキャリアを積んできたと、ささやかながら自負があります。

しかし、現在ただ今だけでなく、過去に書かれたものも含めて、書物の世界は膨大な広がりを持ち、一生の間に読める分量は、(それらとの比較において)微々たるものです。

時間もお金も限りがあります。無駄弾を撃っている余裕はありません。だからこそ、選びます。吟味に吟味を重ねます。その結果、零れ落ちる本もたくさんあります。

それら、手に取ることのない本にも傑作はあるでしょう。私の琴線に触れる、素晴らしい作品もあるでしょう。私が、そこで得られたかもしれない感動や知識を逃しているのは間違いありません。

そのマイナスを、私は受け入れます。

“読まない”という態度も、私の行為の一つです。