察してくれ

今回の、尖閣沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像がインターネット上に流出した問題で、中国政府が、日本政府と同じか、それ以上に頭を痛めているであることは容易に想像がつきます。自縄自縛。その苦悩が、正式コメントの短い強弁に滲んでいます。

中国政府首脳は、こう言いたいのではないでしょうか?

イラクを見ろ。サダム・フセインという重石が取り除かれた途端に混乱し、いつまで経っても収まらないじゃないか。中国共産党一党独裁体制が崩れたら、中国国内で起こる混乱も、諸外国への影響も、イラクの比じゃないんだぞ。それはお前らも望まないだろう。だったら、中国の現体制を維持することに積極的に協力しろとは言わないが、上手く付き合うくらいのことはしてくれ」

現時点での、私の妄想に近い想像。

欧米とアジアの諸国が反中国で結束し、反中国陣営と親中国陣営による新しい東西冷戦構造が生れるかもしれません。

報道されている中国国内の様々な社会的矛盾を中国共産党が糊塗しきれなくなり、市民の鬱積した不満が暴発。共産党による一党独裁体制が崩壊し、各地で軍閥が割拠。内戦状態になるかもしれません。(これは、打海文三の『裸者と裸者』で言及されています。)

魑魅魍魎が跋扈する世界。その一端を垣間見た気分です。

何らかの組織的意図があり、誰か個人が逮捕されても、それはスケープゴートかもしれません。逆に、単純に一個人の義憤による行為かもしれません。

国内世論の突き上げと、国際社会でのすり合わせ。日本に限らず、アメリカでもイギリスでもフランスでもドイツでも、その他の国々でも、状況は同じです。

さあ、政治家の皆さん。今こそ、持てる力を発揮する時です。もし、その能力が無いのなら、あなたが選挙で当選したことは間違いです。去れ。

裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)

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