イメージ戦略

もう何年も前、小室哲哉が人気を博していた頃。trfの「寒い夜だから」という曲がヒットしました。

そして、次の年の冬。「寒い夜だから」のテレビCMが再び流れました。結果、前年ほどではないにしても、それなりの枚数を売り上げ、ランキングでも上位に名を連ねました。

ミュージックステーションで、司会のタモリに「このような売れ方は珍しい」と言われ、trfのメンバーが「曲がこのように愛されて嬉しい」と答えていた場面を見て、私は「売れるって何だろう」と思っていました。

前年に発売されたCDを一年後に購入した人たちは、その動機として、こんなイメージを持ったのではないでしょうか。「テレビのCMで流れているということは、この曲は、山下達郎の『クリスマス・イブ』のように毎年買われるものなんだ。冬になると聴くのが当たり前の定番ソングなんだ」と。

作品そのものへの支持ではなく、その周囲に人為的に作られたイメージによって売れたという事実を踏まえて、想像します。

創造を生業とする人たちの葛藤を。