プロフェッショナル

観る者を魅了して尚且つ勝つのがプロ。経過ではなく結果がすべてであるのもプロ。

内藤大助VS亀田興毅。二人のプロの闘い。

内藤に、観客を魅了して尚且つ勝つ力が無かったということ。対する亀田はアウトボクシングに徹してカウンターでポイントを稼ぐ闘い方で、勝つという結果のみを見据えていたということ。ともに目指す勝利の中身が違っていました。

この二つに優劣はありません。あるのは差異だけです。観客を意識した内藤もプロ、勝ちに徹した亀田もプロ。どちらも非難されるべきではありません。

試合の前日、通っているボクシングジムで、トレーナーさんから、KOには少なからず幸運という側面があり、プロの目で力が上と判断される判定勝利こそ本当に価値のある勝ち方だ、という話を聞きました。

ジャッジがどこに重きを置くかで結果が違ってきます。私が見たところ、手数を多く出して試合を動かしていたのは内藤ですが有効打が少ない。ガードを固めてこつこつと確実にパンチを当てていった亀田もまた有効打が少ない。あくまでも少ない同士で数を比較して、亀田に軍配が上がったということではないでしょうか。ジャッジを担当した人が違えば、また違った結果になったかもしれません。しかし……。

試合終了時の二人の顔を見た時、シドニーオリンピックで柔道の篠原信一が決勝戦で誤審で負けた試合を思い出しました。篠原は相手選手の内股を逆に内股透かしで返しました。きれいに投げられた相手は“やられた”という表情を浮かべました。その内股透かしを認められずに篠原は負けました。勝った相手選手は試合後も表彰式でも満面の笑みを浮かべていましたが、他の誰よりも自分自身が、自分は負けたのだとわかっていたはずです。

内藤もジャッジに不満はあっても、自分が勝てなかったことを誰よりも感じているはずです。

そして亀田。これまで通り強敵との対戦を避けて“ただチャンピオンになることだけ”を目指すのか。ファンが納得する闘いを繰り広げていくのか。まずは暫定王者ポンサクレックとの対戦が濃厚です。ボクシングファンの視線は内藤戦以上にシビアになることでしょう。お手並み拝見です。