ルネ・マグリットの『大家族』

画家ルネ・マグリットに『大家族』という作品があります。この絵をはじめて観た時、どこをどう見れば大家族なんだろうと不思議に思いました。

児童文学者の灰谷健次郎は自分の作品を語る際に、“一つの命”という言葉を使いました。

ひろさちや、という仏教学者がいます。わかりやすく噛み砕いた語り口の本を何冊も書いています。その中に印象的な話がありました。この世の出来事はすべて、良いことも悪いことも、そして人の死も仏様の書いたシナリオ通りに起こっているのである。それら全部に意味があるのだが、卑小な人間にはそれを理解する術が無い。だから目の前の出来事に一喜一憂することなく仏の教えに縋ろう、耳を傾けようというわけです。

これらの言葉や文章を目にして『大家族』を観ると、何故タイトルが『大家族』なのか、不思議と腑に落ちます。私の部屋にこの作品の複製画が飾ってあります。この絵を眺めながら一晩飲めますね。