ボッシュ①

物言わぬ死者の代弁者として犯人を追う刑事、ハリー・ボッシュ

物語の最後、官僚然とした上司は、ボッシュに、何故それほど頑張るのかと尋ねます。

ずっとボッシュの物語を読み続けている読者なら、その答えは自ずと明らです。

それは、彼がハリー・ボッシュだから。

ひたすらに犯罪者を追い正義を追求することを役割として課され、それを果たすために神から人間の形を与えられたかのような存在。

まるで、事件があって犯人を追うのではなく、犯人を追うために事件があるかのよう。

そう、ボッシュ豊浦志朗船戸与一)が定義する硬派の一人です。

ボッシュ”シリーズは、レイモンド・チャンドラーの流れを汲むハードボイルドと認識されていますが、それだけではありません。

ダシール・ハメットの遺産もまた、その作品と同様、少々わかりにくいかもしれませんが、脈々と受け継がれています。