ボッシュ①
物言わぬ死者の代弁者として犯人を追う刑事、ハリー・ボッシュ。
物語の最後、官僚然とした上司は、ボッシュに、何故それほど頑張るのかと尋ねます。
ずっとボッシュの物語を読み続けている読者なら、その答えは自ずと明らです。
それは、彼がハリー・ボッシュだから。
ひたすらに犯罪者を追い正義を追求することを役割として課され、それを果たすために神から人間の形を与えられたかのような存在。
まるで、事件があって犯人を追うのではなく、犯人を追うために事件があるかのよう。
そう、ボッシュは豊浦志朗(船戸与一)が定義する硬派の一人です。
“ボッシュ”シリーズは、レイモンド・チャンドラーの流れを汲むハードボイルドと認識されていますが、それだけではありません。
ダシール・ハメットの遺産もまた、その作品と同様、少々わかりにくいかもしれませんが、脈々と受け継がれています。
- 作者: マイクル・コナリー,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/06/14
- メディア: 文庫
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