今なお船戸与一③

船戸与一の反チャンドラー論が収められている『レイモンド・チャンドラー読本』をネットで購入しました。市営図書館に蔵書があって、読んだことはありましたが、やはり手元に置いておきたいというコレクターの血が騒ぎました。

まず何よりも、チャンドラーの魅力を語るべく編まれた本に批判的な評論が載せられていることに驚きます。

しかし、チャンドラーの愛読者に向けて批判的なものを書くのですから、その人たち以上に読み込み、言葉に説得力を持たせなくてはいけません。ただケチをつけるだけでは、たんに理解力がないだけと見做され、株を落とす破目になります。

大藪春彦が単独峰に例えられますが、この本の中で、船戸与一もまた孤独に雄々しく聳え立っています。