まずは

たった一冊の本を読んで知った気になるつもりはありませんが、貧困の問題が現に在るのだから、まずは触れてみよう。そう思って手に取りました。

奇しくも、児童擁護施設が外の世界に対して閉じられていること(それは同時に、外の世界が養護施設に対して扉を閉じていることでもあります)の歪さと弊害についての言及があり、深く頷きました。

情けは人の為ならず。社会が力を合わせて子供たちを育てることは一方的な施しなどではなく、その子供たちが大人になって働くようになれば、それは即ち「良き納税者」になることであり、すべては社会に還元されるという指摘は貴重です。

かわいそうなどという同情は優越感の裏返しであり、それこそが格差を生む土壌です。

ここにハードボイルドの思想を絡めることができると、わたしは思います。思いがけない発見です。