独りの人

この本を読んで痛切に感じたのは、昭和天皇の孤独でした。天皇は唯一人。誰との間にも共感は成立しません。

そして、陸軍と海軍が、ずっと昭和天皇に正確な情報を伝えることを意図的に避けていたことは、その孤独をいっそう深めたと思います。一人の人間として、その尊厳を認められず、利用価値のある記号として扱われたに等しい態度を取られたのですから。

また、読みながら意識したのは年齢です。即位したのが25歳。満州事変のときは30歳。2.26事件のときは34歳。日米開戦のときは40歳。そして、終戦のときが44歳。その若さに驚きました。

昭和天皇実録』は大部で太刀打ちできませんが、その一端の一端に触れることはできたと思います。