市民権、遠し

佐山聡が心臓の手術を受けたとのこと。予後も順調で、まずは一安心といったところでしょうか。

それにしても、今回の出来事の一連の報道を見聞きして、プロレスはおろか格闘技も、かつてアントニオ猪木が唱えた“市民権”をいまだに手に入れてはいないのだと思い知りました。

社会にとって、佐山聡佐山聡ではないのです。彼は「初代タイガーマスクの人」なのです。

どの記事も、「初代タイガーが〜」と書いています。誰も、佐山聡の、タイガーマスクを止めてからの試行錯誤、地道な努力など一顧だにしません。格闘技の発展への献身、その影響などに敬意を払いません。

それがあったのなら、きちんと「佐山聡の身に起きたこと」として報じたはずです。

そして、これは(いわゆる)格闘技が競技としてであれスポーツとしてであれ武道としてであれ、社会に認知されていないということの証明です。

そういうものだから、そういう扱い。

佐山聡自身もまた、リング上からの挨拶のときはともかく、記者会見の席でもマスクを被っています。これは呪縛です。