無駄なんてない

『コロヨシ!!』の高校生たちが熱中した部活動。それは“掃除”です。もちろん、わたしたちが日常的に行っている掃除とは違います。

この“掃除”は、ある理由から高校生の三年間しか行うことが許されていません。高校を卒業すると同時に止めることになり、大学へ進学しても続けたり、道場に通ってさらなる研鑽を積んだりといった“その先”がないのです。趣味として続けるという選択肢もありません。

当然、“掃除”という競技に夢中になることは無駄なことなのではないかという疑問が胸を過ぎります。それでも、若さは、それを承知で情熱を傾けることを止めません。

彼ら彼女らは、それを肯定します。わたしもです。

過去の何かを無駄だと思うことは、即ち、自分自身による現在の自分の否定です。その時間を経たからこそ、今の自分がいるのですから。

中長期的に見ればマイナスかもしれないが、今を乗り切らなければ先もない、まずは目先の利益の確保。誰もが目の前のことに汲々としている世の中で、その無駄こそ愛おしい。

きっと、物語はそこからしか生まれないから。