読む快楽

まず、冒頭の献辞に「大藪春彦」の名前があり、驚くと同時に嬉しくなりました。

「人間は言葉によってのみ真に思考する」(by立花隆)なら、言葉によって構築された世界に遊ぶのは根源的な喜びです。

わたしが「何を書くのかと同時に、如何に書くのかも大切」と思うのも、その故です。

選び抜かれた言葉によって描かれた“活劇小説”。

文体が小説世界を作るのか、小説世界が文体を要求するのか。

この小説を読むのは“遊び”です。それも、とても贅沢な。

引擎/ENGINE (新潮文庫)

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