閉じた世界
景気が良いとは、お金が世の中を活発に動いている状態を云います。景気が悪いとは、その逆です。
一億総中流も今は昔。中間層が溶けて消え、富裕層と貧困層の格差の拡大が叫ばれて久しい昨今です。
一時期、その富裕層の収入がさらに増えれば、より多く消費するようになり、結果的に世の中にお金が巡って景気が良くなるという世迷言が聞かれましたが、そうはなりませんでした。
当然です。金持ちは物欲を満たすべく散財することなく、より裕福になるべく、その資産を投資に回したからです。
つまり、実際の金銭のやり取りではなく、お金は金融の世界でのみ動いていたのです。
帳簿上の好景気。
企業は、非正規社員の比率を高めることで人件費を削り、正社員も含めて報酬を抑え、ひたすらに内部留保を溜め込み、その一部を政治家に献金するとのこと。
そして、金を出す以上は口も出すとの宣言まで。
こうして、富裕層の資産の運用とは別に、もう一つ、お金がぐるぐる循環する閉じた世界の出来上がりです。
これで景気が良くなる経済政策を語るのは、性質の悪い冗談でしょうか。