『真夜中の相棒』

人は一人で生まれてきて、一人で死んでいきます。だから、せめて生きている間だけでも、誰かと通じ合っていたい。

不器用に生きていくことを、この社会は容認しません。我々にとって有益な存在であれ、役に立てと。

誰もが他人に誇れる立派な人生を送っているわけではありません。見栄と自己憐憫から、懸命に言い繕っているだけです。良くもないが悪くもないと。

この社会の約束事に身を沿わせることができず、堕ちていく愚か者たち。

自分以外の誰かを求めること。

自分以外の誰かに求められること。

その小さな幸せしか望まなかった故の悲劇。

苦い余韻に心が震えています。

新装版 真夜中の相棒 (文春文庫)

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