受け継ぐ命

人は、(自分以外の)人の死を引き継いで生きていきます。それは、命を引き継ぐのと同義です。

亡くなった人は、忘れ去られたとき本当に死ぬと云います。

そして、私たちは現在、ただ生物学的に生きるのではなく、「生き抜く意志を持たねば生きられない」時代を生きています。

年間の自殺者が三万人を割ったことが「良いニュース」とされ、二万数千人が自ら命を絶ったことが耳目を集める価値あるニュースとならないことを異常と思わない不感症を、どれだけの人が自覚しているでしょうか。

三島由紀夫は、青年の自殺を評して「絶望から人はむやみと死ぬものではない」と書きました。私も、死の誘惑が甘美であることを否定しません。

しかし、それを認識したうえで、私たちは生きねばなりません。何という苦行。それでも……。

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)