正義を求めること

正義とは何でしょうか。

それが最大多数の幸福を指すなら、それは少数者、即ち弱者の切り捨てであり、多様性の否定です。

しかし、その多様性を重んじ、考え方は等しく人それぞれと云うなら、正義は人の数だけあることになります。

異なる正義が衝突したとき、一方が他方を力で屈服させるのも、双方が妥協点を探るのも、正義の正当性を損なうという点では同じです。

では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。どのような態度で他人や他国と向き合えば良いのでしょうか。

身も蓋もない言い方ですが、「そこに正解はない」というのが私の考えです。

自らの正義を至上のものとしたとき、人は歪みます。

再び問います。正義とは何でしょうか。

私は、それを考え続けることが、私に唯一できることだと思っています。答えを得られないと承知しつつ、それを求め続けて。

五條瑛の『ROMES 06 まどろみの月桃』を、このようなことを考えながら読み進めていたところ、物語の終盤(というよりも最後)、「システムも人間も成長しなければならない」というセリフがあり、とても嬉しくなりました。