TPPに思うこと

TPPが、元々はアメリカを含まない四つの国の間の話として出発したこと、そこにアメリカが後から乗り込んだことを知っていますか。

しかし、このTPP、報道のされ方を見れば分かるように、環太平洋〜と云いながら、実際にはアメリカの“国内”問題です。オバマ大統領が、輸出の増加によってアメリカ国内経済を復調させ、雇用を創出すると宣言したことの具体化の一つです。

では、関税が撤廃され、アメリカ製品の国外での売り上げが飛躍的に伸びるでしょうか。私は否定的に見ています。一時的に良い数字が出ても、それが継続するとは思えません。

アメリカは、既に周囲の多くの国と経済協定を結んでいますが、それでも経済は低迷し続けています。その規模を拡大しても、効果はないとはいわないまでも少なく、それに見合ったプラスは発生しないと思います。

アメリカ製品が売れないのは、関税だけが原因なのでしょうか。私は、CDが売れないことを違法ダウンロードが原因とする音楽業界、製作会社の姿を思い浮かべます。

中国の問題もあって、日米同盟は重要度を増しているとされます。このTPPが、表立って指摘されることはなくても、それとは切り離した問題として扱われることはなく、互いに交渉の材料として扱われることは論を俟ちません。

賛成だ反対だと叫んでみても、それは通過儀礼に過ぎず、TPPに参加することは、この問題が耳目に入った時点で、どこか諦めの境地とともに誰もが受け入れているのだと思います。

では、私たちは何をすべきなのでしょうか。これは、私が読んだ経済に関する本で書かれていることの受け売りですが、“日本というブランド”を確立することです。金額の多寡をものともしない魅力の創出です。

それは、良いものを作れば売れるという短絡ではなく、その良さをアピールして世界中にメイド・イン・ジャパンの素晴らしさを浸透させる運動です。

もう、「日本には独特な文化があるから」という言い訳は通用しません。

良い映画、良い音楽、良い小説、その他あらゆる分野で「さすが日本は素晴らしい」と思われる作品が海外に向けて発信されることも大切です。それらの直接の売り上げだけでなく、日本への良いイメージが他の産業を力強くバックアップするのです。

条件を変えることができないなら、その枠の中で出来ることを精一杯するだけです。それが、条件そのものを変える力を生むのだと思います。