戦いの最中
隆慶一郎の『死ぬことと見つけたり』は、『葉隠』をモチーフにした小説です。
主人公たちは、毎朝、布団を出る前に、自分が死ぬ場面を克明に思い描きます。その一日を、死人(しびと)として生きるために。
死人=既に死んでいる者に恐怖はありません。躊躇いはありません。その苛烈さに、生きている者は太刀打ちできません。
村上春樹の『ノルウェイの森』に、大略“死は生の対極にではなく、生の一部としてある。”という文章があります。
以前、祖母の死について書きました。
http://d.hatena.ne.jp/ocelot2009/20091114/1258217017
このように、“人の死”というものを理解できないことが許されるのは、小学生までです。
それ以上の年齢になったなら、知識を総動員して知ろうと努め、想像力をフル稼働して想わなければいけません。それが、後に残された者の礼儀です。
- 作者: 隆慶一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/08/30
- メディア: 文庫
- 購入: 14人 クリック: 844回
- この商品を含むブログ (62件) を見る
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/09/15
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 31人 クリック: 899回
- この商品を含むブログ (763件) を見る