戦いの最中

隆慶一郎の『死ぬことと見つけたり』は、『葉隠』をモチーフにした小説です。

主人公たちは、毎朝、布団を出る前に、自分が死ぬ場面を克明に思い描きます。その一日を、死人(しびと)として生きるために。

死人=既に死んでいる者に恐怖はありません。躊躇いはありません。その苛烈さに、生きている者は太刀打ちできません。

村上春樹の『ノルウェイの森』に、大略“死は生の対極にではなく、生の一部としてある。”という文章があります。

以前、祖母の死について書きました。

http://d.hatena.ne.jp/ocelot2009/20091114/1258217017

このように、“人の死”というものを理解できないことが許されるのは、小学生までです。

それ以上の年齢になったなら、知識を総動員して知ろうと努め、想像力をフル稼働して想わなければいけません。それが、後に残された者の礼儀です。

死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)