化粧直し

「本が売れない」やら「雑誌が売れない」やら。もう何年も、出版不況が叫ばれています。

一つひとつの本が売れないのであれば、点数を増やすことで補うしかない。そうして、書店ではバラエティに富んだ本が所狭しと並んでいます。その結果、一冊の本の(書店に並ぶ期間という意味での)寿命が極端に短くなりました。「そのうち買おう」などと悠長に構えていたら、いつの間にか店頭から消えていた、などということもあります。

そのような状況の中で、文芸書、特に文庫において目につく動きがあります。

絶版になった(古い)本が、装いも新たに再び出版される。それが従来の姿でした。例えば、大藪春彦山田風太郎が思い浮かびます。

それとは異なる動き。最近まで○○文庫で出ていた本が、間を置かずに△△文庫から発売されるケースを多く見かけます。絶版になって入手が困難になっていたわけでもないのに。

芥川賞直木賞も、本が売れない時期に何とか売ろうというキャンペーンとして始まりました。最近では、年末の各種ランキングが売り上げに貢献しています。

版元を変えての新装版の発売には、新発売という新鮮さをアピールすることで購買意欲を刺激しようという売る側の理屈が透けて見えて、ちょっと寂しいものを感じます。