『夜は終わらない』

ジョージ・ペレケーノスの『夜は終わらない』は、犯罪捜査とともに、家族の絆を描いています。

ラモーンを含め、いくつもの家族、親子が登場します。逆に家庭を持つことなく一夜の女性遍歴を重ねる男もいます。妻に先立たれた老人もいます。

家族。この近くて遠い、不思議な関係。

また、犯罪を摘発することで、その犯人の家庭はボロボロになります。その結果、社会的弱者となった、その家庭の子供もまた犯罪に手を染めます。正義を行うことで生れる、負の連鎖。

それでも、ペレケーノスは諦めません。パンドラの箱に唯一残された“希望”の如き、人の世の美徳を追い求めます。

ペレケーノスの作品を読むと、読み応えと感動があり、一つの小説として満足します。そして、同時に、「ああ、この作家はまだ旅の途中なんだ」との感慨を抱きます。

まだまだ読み続けたい作家です。