恥じる

最も身近な、大切なヒトが涙を流していることに気付かなかった私に、想像すらしなかった私に、何かを語る資格があるのか、という問いすら虚しい。

発した言葉は、自らの心に突き刺さります。「いっぱしの意見を言った気になるな」「ニュートラルな想像力が大事」などと謙虚を装った自分自身が、最も性質(たち)の悪い卑劣漢です。

“人間だもの”なんてセリフは、口が裂けても言いません。私は私を許しません。

映画『乱』に「仏もまた泣いている」という台詞があります。泣いていただかなくて結構。そんな暇があったら、徳を積んで生きている人間に報いてほしい。あの涙も仏の書いたシナリオの一部だと言うのなら、それはあまりにも酷い。