人間賛歌

以前、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の台詞を引用しました。

http://d.hatena.ne.jp/ocelot2009/20100225/1267112887

これを踏まえて。

大藪春彦の『汚れた英雄』に、このような一節があります。

「勇気は技術だ。自己のテクニックに対する自信だ。」

これが“人間賛歌”でなくて、何だというのでしょう。

血と暴力の物語が、その懐に人間賛歌を抱いていたという、皮肉な逆説。

船戸与一の言う、大藪作品を否定した“文壇のパリサイ人”は、それによって自身の心の貧しさを露呈しています。

そして、私は、批評される対象、つまり作品を作ることを生業としている人の強さを想像します。彼ら彼女らの目に映っている世界は、私の見るそれと、どう違っているのだろうと。