水平線

船で外洋に出たことがありますか?

私が生まれ育った場所は海無し県で、毎年、県内の小学校及び養護学校から代表を一人選んで、大型客船で伊豆諸島近辺をぐるりと巡る船旅を県が企画していました。

船という人工物の上ですから、三百六十度とはいきませんが、見渡す海は、私を頂点に、端にいくほど下がって湾曲しています。水平線は平らではありません。弓なりです。地球は丸いと、理屈でなく、皮膚感覚で理解できます。

その不安定さは、人を謙虚にします。生きているのではなく、生かされているのだと。