記憶と記録

学生時代のこと。友人との会話の中で、あるプロ野球選手が話題に上りました。その選手は陽性のキャラクターと、試合でのプレーとは関係の無い、人目を引くという意味でのパフォーマンス的な言動で人気を博していました。

その選手の「記録を残すことはなくても、ファンの記憶に残れば良い」という趣旨の発言を受けて、友人曰く、「記憶に残る選手は皆、記録も残している」。

プロとは何か? プロ野球について、極論であることを承知で言えば、所詮は球遊びです。大切なのは、その“球遊び”にお金を払う人がいること、自分の人生の何がしかを投影して熱狂する人がいることです。

球遊びをして莫大な報酬を得ることに慄く謙虚さがあるなら、「記録を残すことはなくても云々」という科白は、口が裂けても言えないはずです。

感動を生む。それも立派な生産性です。胸を張れる産業です。そして、それは真摯な意気込みによってのみ生まれ、伝わります。