前田日明

前田日明がどう否定しようと、犬猿の仲である佐山聡の後追いをしている事実は事実です。

旧UWFにおいて佐山が主張していたことを、新生UWFにおいて実行したのは誰の目にも明らかです。芸能プロダクションと契約して、コンサートを模して月一回の興行形態を確立したことは見事ですが、それも佐山が主張していたことの具現化です。

ルールも自分で考えたのであって、旧UWFで佐山が考えたものとは一切関係無いと言っても、佐山が纏めたものを下敷きにしたのは明々白々です。そのファイトスタイルも、佐山がいなかったらもっと違ったものになっていたはずです。さらに言えば、旧来のプロレスを否定したところもそっくりです。

現在、前田は「ジ・アウトサイダー」というアマチュア大会を主催しています。その「アマチュアの育成、底辺の拡大」という趣旨も、佐山が旧UWFを辞めて「シューティング(現・修斗)」を創設した際のものとそっくり同じです。

また、前田は「現在のプロレスは、自分たちがやっていたものとは違うものだ」という言い方で、自己のルーツはプロレスであるという姿勢を見せています。これも佐山の発言と似ています。

機動戦士ガンダムZZ」の中で、強化人間のエルピー・プルという少女は、同じクローンの少女に対してこう言います。「人間は自分を見るのが嫌なんだ。だから(私達は互いに対峙すると)不愉快になる」

同属嫌悪。目指す方向は同じだったのに。佐山と前田が協力しあえていたら、というのは儚い幻想ですが、だからこそ“もしも”と思ってしまいます。