男の友情1

エッセイだったかインタビュー記事だったか記憶が曖昧ですが、北方謙三が大略次のように発言しています。

“男の友情といっても、現実には金に困った相手に二、三十万用立てるくらいのものだろう。だからこそ、自分は小説の中で、そうではない男の友情を描いている”

このようなスタンスで小説を書きながら、“男のハーレクインロマンス”に堕すことがないのは、自身の作品を客観的に見る距離感を持っているからでしょう。

世にラブソングや恋愛小説が溢れているのも、現実がそうではないからこそ、それを求める人たちがいるのだと考えるなら、北方謙三の言うことも腑に落ちます。