既視感

僅か数年前に見た風景。
旧弊を唾棄し、“何か”新しいことをしてくれそうだという“感覚”が引き起こした地滑り的圧勝。浮ついた興奮。そして異常に高い支持率。
そう、小泉純一郎が政局の最前線に躍り出てきた時、私たちはこの風景を見ました。

テレビドラマの「3年B組 金八先生」にこのような回がありました。
担任をしているクラスの生徒の家を訪ねた金八。その家には東大を目指して浪人している、その生徒の兄がいました。玄関であれこれ話す金八と母親に、その兄が二階の自室から怒鳴ります。「うるさい、勉強の邪魔だ」と。彼はその年も受験に失敗し、自殺します。それを受けて、金八は自分の生徒たちに言います。「彼は東大に入ることだけを目標にして、大学で何を学びたいかという考えが無かった」

政権交代が目標ではありません。これから何をするかが問われます。しかしながら、小泉純一郎がのし歩いた結果が現在の日本であるなら、私は今回の民主党の圧勝を手放しで喜ぶことはできません。

お手並み拝見などと悠長なことは言ってられません。これで民主党が箸にも棒にもかからなければ、大きな揺り戻しが今度は自民党に来ます。
そうすると私たち日本人は、この国の舵取りを任せられる政党を持てないということになります。