裁判員制度

多くの問題を孕みつつ始まった裁判員制度。報道は、施行されてしまえば“始まったものはしようがない”と言わんばかり、“より良いものにすべく頑張ろう”という、大変ご立派な態度一色です。書店でも裁判員制度を滞りなく推し進めるための書籍が平積みにされています。

裁判員制度の正体』(西野喜一著・講談社現代新書)という本があります。陪審制と裁判員制の違いもわからなかった私にとって、読む前と後では世界が違って見えるほどに、読んで良かった本でした。この本を裁判員制度の施行前に読んでいなかったら、一連の報道についてまったく違った印象を持っていたと思います。

現在はまだ物珍しさもあって、報道とは呼べないお祭り騒ぎの最中です。それはマスコミだけでなく、我々もまた同様です。裁判員が、人一人を裁いた後で共同で記者会見を開いてあれこれ喋るなど、マスコミも裁判員も新しいおもちゃを買い与えられてはしゃいでいる幼児と大差ありません。

裁判員制度の正体 (講談社現代新書)

裁判員制度の正体 (講談社現代新書)