2011-05-21から1日間の記事一覧

『破獄』吉村昭

『破獄』は、脱獄を繰り返す囚人と、それを防ごうとする刑務所の看守たちの戦いを、戦中と戦後の社会を遠景に描いています。船戸与一の「叙事の積み重ねが叙情を凌ぐ」の理想の形の一つと言っても過言ではない作品です。読んでいて、著者の志の高さが伝わっ…

『羆嵐』吉村昭

吉村昭の作品を二冊、読みました。初めて読む作家です。ある掲示板でのやり取りの中で紹介していただきました。『羆嵐』は、極寒の北海道が舞台。雪深い山間の開拓村を、冬眠の機会を逃し、空腹に荒れた羆が襲います。恐怖は思考を停止させます。野生動物は…