肯定の物語

この作家が描くのは生きることの肯定です。正解を求めるのではなく、真摯に、凛々しく生きることの。

舞台となるのは、現実とは価値観のずれた(日本を思わせる)架空の国(の社会)。読者は虚心坦懐、自分の中の常識も非常識も捨てて、すべてを等価値に受け入れて読むことになります。その結果、登場人物たちの姿がより際立って迫ってきます。

遠くを眺めているだけではなく、足元を見つめる時期があってこそ、人は歩いていけるのです。それは、就職活動における自己分析などとは違います。