守る

“ジウ”シリーズに登場したテログループ「新世界秩序」。その残滓は、同じ物語世界を共有する後続の作品において生き続けています。

あるテログループが、政治家や官僚、巨大企業のトップ、マスコミ関係者など社会的に枢要な立場にある人々と繋がっていたら、否、そもそも目的を同じくする共同体を形成していたら。彼ら彼女らの行為はテロではなくクーデターでしょう。

この『歌舞伎町ダムド』の最後、ある女性が敵対する組織に宣戦布告します。しかし、それは攻めることではなく守ることをです。

守る。この尊さを、いまのわたしは皮膚感覚で理解できます。

現実世界に対する反骨心を、声高に主張するのではなくエンターテインメントとして提示してみせる。ここにも大藪春彦の子供がいます。

そんなことを想う、平成29年の3月11日。