目から鱗の一冊

良書という言葉を素直に捧げたい本です。

冒頭に語られるのは、9.11同時テロの後のアメリカと、先の戦争の日本の共通点という話です。そこから知的好奇心を刺激されまくり。自分の知識とのつき合わせという読書の始まりです。

人は一人では生きていけません。日常生活を例にとっても、口にする食べ物、身に纏う衣服や靴、その他あらゆるものが自分以外の他人の手によって作られたものです。

そして、(輸送を含む)交通手段を持たなかった時代ならいざ知らず、それらが急速に発達した近現代において他国の存在抜きに自国が成立することはあり得ません。

例えばオリンピックで、わたしたちは自国の代表選手を応援します。高校野球の甲子園大会で、自分が暮らす都道府県の代表校を応援します。幼稚園や学校の運動会で、我が子や孫を応援します。

至極当然のことですが、そこには厳然とした区別があります。この言葉の順序を逆にしてみます。厳然とした区別があるのは至極当然だ、となります。

これに、互いを認め合って尊重するという心のブレーキがかかって、初めて人は社会的な存在になれます。

しかし、自分が一番可愛いのが人の常。そして、その自己愛を満たす最も手っ取り早い手段は、自分を磨くべく努力することではなく、他人を見下すことです。

それが組織単位で起きたとき、人間は感情の動物、理は退けられます。

この本が好調な売れ行きをみせているというのは、そうならないように学ぶべきと考えている人が多いということです。