アメリカを知っていますか

世界情勢を語るとき、中国の動向がクローズアップされる昨今ですが、相対的な地位、影響力の低下が語られてはいても、一方の雄、アメリカの存在を軽視してはいけません。

そのアメリカを、わたしたちはどれだけ知っているでしょうか。翻訳される書物は全体のほんの一部に過ぎないでしょうし、ハリウッド映画を観て理解したつもりになるのは馬鹿げた態度です。

翻訳された海外の小説を読むことについてネガティブな意見があります。その国の常識や価値観、言葉のニュアンスは実際にそこで暮らしている人でなければ本当には理解、実感することはできないものだと。

至極ごもっとも。しかし、それを言ったら何も始まりません。

だからこそ、学ぶ必要があるのです。

アメリカの社会情勢について書かれたものではなく、アメリカそのものについて書かれた本と読むというのは「いまさら」という気がしないでもありませんでしたが、その発想が間違いで、ではアメリカについて知っていることを語ってみろと言われたら、わたしには話せることは何もありません。

そのくらい、知っているようで知らない国、アメリカ。

本を一冊読んだからといって、アメリカ通になれるものではありませんが、アメリカのどこが良いとか悪いとかではなく、まずは知ろう、そうなのだと理解しようという姿勢に貫かれた良書です。

街場のアメリカ論 (文春文庫)

街場のアメリカ論 (文春文庫)