波紋を消すな

IGF大晦日興行での藤田和之VS小川直也について談論風発の様子を見て、まず思ったのが「大したものだ」でした。

プロレスを含む格闘技において、近年、これほどまでに誰もが口角泡を飛ばして語ることがあったでしょうか?

昭和のプロレスを見てきた者には「これもプロレスの一断面だな」で終わることも、反則決着も両者リングアウトも慣れていない人たちには噴飯ものなのでしょう。

しかし、それも含めて成立するのがプロレスという独特の競技、ジャンルです。いま腹を立てている人たちを如何に惹きつけられるか。その先に何を描けるのか。プロレスが試されます。

私が気になるのはIGFの興行システムです。IGFは既存のプロレス団体とは違い、かつてのPRIDEのように選手が集う場でしかありません。前の大会と今度の大会、さらには次の大会という連続性が希薄です。ファンは熱しやすく冷めやすいもの。大会と大会の間が空き過ぎてしまっては、せっかくの盛り上がりが萎んでしまいます。

すぐにでも次の一手を打つべきなのですが、それがリングでの戦い模様によってではなくマスコミを通しての舌戦では、プロレスの持つ熱気や興奮には程遠いと言わざるを得ません。

この点が解消されれば他団体を凌駕する支持を得られる可能性があると、私は思います。一石を投じて生まれた波紋。藤田と小川の戦いを「どちらが強いのか」という単純な二元論でお終いにすることなく、太い流れを作ってくれることを願って止みません。