『獣の奏者』

“言葉”によって綴られる小説を読んで心が打ち震えたとき、その感動を語る“言葉”を、私は持ち得ません。

危地にある母親を救おうとした少女エリンの必死の形相と、母親に抱きつくしかなかった無力感。

そこから始まった、母親を知る旅。

生き物は如何に在るのか、そのすべてを知りたい。その先にある、母親が死を選んでまで秘した真実を知りたい。そして、何より母を知りたい。

その旅が終わるとき、母親になっているエリンが息子に告げた言葉。

「おまえのおかげで、わたしのすべてが、報われた……。ありがとう」

この本に出会えたことに感謝します。

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)