『八日目の蝉』
地中で七年間過ごした蝉が地上で生きられるのは、僅かに七日間。その七日間を越えて八日目まで生きたなら、その蝉は何を見るのでしょうか。
赤ん坊を誘拐した女性は、冒頭で、その小さな身体の確かな重みを両腕に感じて慄きます。命の重み。
人生は、分岐点はあっても、分断することはできません。それ以前の自分はrascal(A)で、それ以降の自分はrascal(B)とはなりません。
この作品は、分断された人生を取り戻す二人の女性の物語です。七日目と八日目を繋ぐ物語です。
(文庫化を待ってですが)この本を手に取った自分の嗅覚に自信を持ちました。
本を読むことの素晴らしさを再確認させてくれた読書でした。
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/01/22
- メディア: 文庫
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