『八日目の蝉』

地中で七年間過ごした蝉が地上で生きられるのは、僅かに七日間。その七日間を越えて八日目まで生きたなら、その蝉は何を見るのでしょうか。

赤ん坊を誘拐した女性は、冒頭で、その小さな身体の確かな重みを両腕に感じて慄きます。命の重み。

人生は、分岐点はあっても、分断することはできません。それ以前の自分はrascal(A)で、それ以降の自分はrascal(B)とはなりません。

この作品は、分断された人生を取り戻す二人の女性の物語です。七日目と八日目を繋ぐ物語です。

(文庫化を待ってですが)この本を手に取った自分の嗅覚に自信を持ちました。

本を読むことの素晴らしさを再確認させてくれた読書でした。

八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)