『ハーバード白熱教室講義録』

先日読んだ『これからの「正義」の話をしよう』は、著者のマイケル・サンデル教授の、ハーバード大学での講義を基に書かれた本でした。

その講義を書籍化した『ハーバード白熱教室講義録』を読みました。

『これからの「正義」の話をしよう』を読んだ後でしたので、内容が、すべて馴染みのあるものばかり。また、当然ながら口語体で、学生たちとのやり取りも多く、その世界にすんなりと入り込めました。

読みながら特にしみじみ考えたのは、以下の二点。

第一に、日本に住んでいると素晴らしい制度だと思って疑わない“国民皆保険制度”が、何故、アメリカでは国論を二分してまとまらないのか。その思想的背景を知るにつけ、この本を読んでの感想と繋がりますが、「より良く生きるのは難しい。しかし、それを諦めたら人としてお終いだ」との感を強くしました。

第二に、プロゴルフでのカート使用についての議論。スポーツとは何なのか、という根源的な問いを内包し、格闘技好きを自認する人たちには、ぜひとも読んでほしい内容です。

漫画『MASTERキートン』で、主人公のキートンは、ある社会人学校の講師を勤め、人は何故学ぶのかという問いに、こう答えます。「それが、人間の使命だからです」と。

本書の最後にサンデル教授が語った言葉に、このキートンの台詞を読んだ時の感動が甦りました。

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上)

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上)

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)