汚れた正義

隆慶一郎は幕末・維新についてほとんど書いていません。その理由について、『かぶいて候』に収録されている対談で、次のように語っています。

「維新というのはわからないですねえ。あまりに利害が錯綜していて。僕にはよく判らないんですよ。(中略)やってる当人は純粋なのかもしれないが、結局はどこかの利害に踊らされているところがあるでしょう。そこが嫌なんです。」

中国のデモに関する報道を見聞きして、この言葉を思い出しました。

集団に埋没しなければ声も出せないのなら、黙って手を動かしている方が良い。

ここでもまた思い出します。大藪春彦が描くワンマンアーミーの気高さよ。

かぶいて候 (集英社文庫)

かぶいて候 (集英社文庫)