『新宿鮫』

自らを“永久初版作家”と揶揄していた大沢在昌は、『新宿鮫』によって流行作家としての地歩を固め、続編の『毒猿』によってその地位を決定的なものにしました。その後の活躍はご存知のとおり。

その変貌振りを、“けれん”のひと言で言い表そうとする態度を多く見かけます。

そんな簡単なことか? それは作家を侮辱することでしょう。私自身は初期の作品群も、“佐久間公”シリーズも読んでいない不真面目な読者ですが、生粋のチャンドラリアンとして原稿に向かっている作家の真摯な姿は想像できるつもりです。

家族が『新宿鮫』にいたく感激している姿を見て、ひと言、物申したくなりました。