野獣からの伝言
「(前略)苦しくてたまらないとき、僕は神に祈る。悪霊の神、不吉な運命の神にだ。屈服はしないぞと祈るのだ。
運命に従うのも運命。しかし運命に逆らうのも運命だ。死の手にガッチリつかまるまで運命の神に、人間はいくらたたきのめされても屈服しない、ということを見せてやりたい」
もしも、大藪春彦の作品が“カーとガンとセックスを除いたら何も残らない”ものなら、「非情の死と破壊と掠奪……甘いセンチメントを拒否し、ストイシズムを追い求めた巨人作家の足跡を、斯界の実力者が縦横に論じる!(帯のコピー)」ことはできなかったでしょう。
司馬遼太郎と表裏を成す、もう一人の国民作家、大藪春彦。死してなお、私たちを挑発し続けています。
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