単純な話が

C.J.ボックスという作家がいます。現代を舞台にした西部劇とも呼ぶべき作風です。その『震える山』(講談社文庫)という作品に、こんな一文があります。

主人公と敵対する元保安官のバーナムは、バーで見知らぬ男を見かけます。年齢は60歳前後で、痩せ型。彼にとって、見知らぬ人間=よそ者であり、決して歓迎すべきものではありません。その印象は……。

「男の腹は平らで、それはバーナムにとって信頼できない人間のあかしだった。」

バーナムとって、他人は、自分に従う者と敵のどちらかでしかありません。自分は支配する側で、他人は人畜無害が一番という傲慢。

なら、私はバーナムに嫌われる人間でありたい。さて、腹筋でもやるか。

震える山 (講談社文庫)

震える山 (講談社文庫)