嬉しいと寂しい

五條瑛の“鉱物”シリーズの短編集『Analyst in the box 1』を読みました。kindle限定で発売されていたものを書籍化したオンデマンド本です。

まず、その試みの新しさに驚きました。そして、五條瑛ほどの筆力を持つ作家でも既存の媒体では活躍の場がないことに、現在の出版業界の厳しさを感じます。

一方で、言ってみれば、雑誌で連載されていたものが間を置かずに書籍化されるようなもので、最新の世界情勢(特に東アジア情勢)を素材にした作品を読むという観点から、このスピードは魅力です。

内容は、さすがの切れ味。上質な推理小説の趣きと、現実の世情を背景にしたリアルな物語設定。短編集を読む楽しさをたっぷり味わいました。

Analyst in the Box 1

Analyst in the Box 1